「やんばる野生生物保護センター ウフギー自然館」は、
「やんばる世界遺産センター ウフギー自然館」に改修します。

改修工事のため、令和6年5月6日(月)から閉館し、
リニューアルオープンは令和7年7月以降を予定しています。

※リニューアルオープンの時期については、決定次第お知らせします。

Yambaru Wildlife Conservation Center
Ufugi Nature Museum

やんばるの自然を守る

保護増殖事業

 国内希少野生動植物種に指定されている種のうち、その個体の繁殖の促進、生息地等の整備等の事業の推進をする必要がある場合は、保護増殖事業計画を策定して、保護増殖事業を実施しています。やんばる地域では、ヤンバルクイナとノグチゲラ、ヤンバルテナガコガネを対象に保護増殖事業を実施しています。

ヤンバルクイナ

ヤンバルクイナとは?

 ヤンバルクイナ(学名:Gallirallus okinawae)は、世界中でやんばる地域だけに生息している、日本で唯一の飛べない鳥です。学術的な発見としては非常に新しく、1981年に新種として記載されましたが、地元ではアガチー、ヤマドゥイなどと呼ばれてその存在が知られていました。その生息数は非常に少なく、現在絶滅の危機に瀕しています。環境省レッドリスト(2020)では、最も絶滅のおそれの高い絶滅危惧IA類として記載されています。

1981年新種として記載
1982年国の天然記念物に指定
1993年種の保存法(絶滅のおそれのある野生動植物の
種の保存に関する法律)にもとづく国内希少野生動植物種に指定
2006年環境省レッドリストで絶滅危惧IA類に掲載

ヤンバルクイナをめぐる問題

ヤンバルクイナの生存を脅かす原因には、主に次のようなものがあります。
1.林道建設や森林伐採などによる生息地の減少や分断 
2.マングースや、ノネコ・ノイヌによる捕食
3. 交通事故などのロードキル

開発などによる
生息環境の悪化
マングースなどによる
捕食
ロードキル

取り組み1 ~生息状況調査~

 環境省では、ヤンバルクイナの生息状況を把握するため、やんばる全域でのプレイバック調査を2007年から行っています。調査の結果、生息個体数はこれまで1000羽前後と推定されてきましたが、近年マングース捕獲事業の成果が出てきており、2013年以降1500羽前後と推定されています。また、近年生息が確認できなかった大宜味村の北部の山中や、東村高江での生息が確認されてきています。

取り組み2 ~飼育下繁殖技術の確立~

ヤンバルクイナ飼育・繁殖施設外観

 環境省ではヤンバルクイナ保護増殖事業計画(2004年策定)に基づき、ヤンバルクイナ飼育・繁殖施設を整備し、2010年から本格的な飼育下繁殖を試みています。この施設は、野生下での絶滅という最悪の場合に備えて、ヤンバルクイナの飼育下繁殖技術を確立する事を目的としています。飼育個体への影響を回避するため、非公開です。

取り組み3 ~交通事故対策~

 交通事故など(ロードキル)の被害も相次いでおり、もともと生息数の少ないヤンバルクイナにとって大きな脅威となっています。
交通事故対策に関する取り組みは、こちらをご覧ください。

ノグチゲラ

ノグチゲラとは?

 ノグチゲラは、やんばる地域だけに生息しているキツツキ科の鳥で、国の特別天然記念物に指定されています。

ノグチゲラをめぐる問題

ノグチゲラの生存を脅かす原因には、主に次のようなものがあります。
●開発などによる生息地の減少や分断
マングースや、ノネコ・ノイヌによる捕食
●最近は、ハシブトガラスによるヒナの捕食も多数確認されています。

開発などによる
生息環境の悪化
マングースなどによる
捕食
巣穴をのぞき込む
ハシブトガラス
写真提供:小高信彦氏

取り組み ~生息状況調査~

 環境省ではノグチゲラ保護増殖事業計画(1998年度策定)に基づき、1999年3月からノグチゲラに足環をつけ個体識別し行動や繁殖状況などを確認するための追跡調査をしています。 調査では山の中をくまなく歩いてノグチゲラを見つけ、確認した個体の足環の色、見つけた場所、時間、行動の様子などを記録します。鳴き声やドラミングなど、音をたよりにノグチゲラを見つけることもあります。 調査の結果、ノグチゲラの行動範囲は、他の同じくらいのサイズのキツツキに比べて狭いことや、つがいの 相手がいなくならない限り、同じペアで繁殖することなどが分かってきました。

足環をとりつけるようす
とりつけられた足環

詳しい情報はこちらの資料もご覧ください。