Yambaru Wildlife Conservation Center
Ufugi Nature Museum

やんばるの自然を守る

外来種対策

マングース

マングースとは?

 マングースは、アフリカからインド、東南アジアにかけて分布する小型の肉食ほ乳類です。現在沖縄島で見られるマングース(フイリマングース)は、明治時代末(1910年)に、沖縄県内にハブや野ネズミ退治のため、バングラデシュから移入されました。那覇市周辺に十数頭が放され、数を増やしながら北上し、やんばるの森にも侵入しきました。2003年の調査結果では、沖縄島に約3万頭ものマングースが生息していると考えられています。2005年度に外来生物法にもとづく特定外来生物に指定されました。

マングース
マングースの分布を示した図

マングースが引きおこす問題

 やんばるには、もともとマングースのような肉食のほ乳類はいませんでした。そのため、やんばるの生きものはマングースのような肉食動物から身を守るすべを持っていません。このままマングースが増えてやんばるの生きものたちが食べられ続けると、生態系のバランスはくずれ、やんばるの森らしさは失われてしまいます。やんばるで捕獲したマングースの食べ物を調べた結果、昆虫やトカゲ、鳥など様々な在来生物(もともとその場所にいた生きもの)が食べられている事がわかりました。下の写真は実際に食べられた在来生物のほんの一例です。

ノグチゲラの羽
ホントウアカヒゲの羽
オキナワキノボリトカゲの骨
ハナサキガエルの骨

取り組み~マングースの防除~

 環境省と沖縄県が協力して、主に国頭村、大宜味村、東村でマングースの捕獲を実施しています。また、沖縄県などが中南部に高密度に分布するマングースの北上を防ぐため、大宜味村塩屋から東村福地ダムにかけて、マングース北上防止柵を作りました。現在は第3期沖縄島北部地域におけるマングース防除実施計画に基づき、この柵の北側で重点的に捕獲し、2026年度末までに、柵の北側からマングースを完全排除することを目標としています。
 マングース捕獲わなの設置数や設置日数を年々増加させ、2003年度以降、マングース捕獲数は500から600頭で推移していましたが、2009年度から年々捕獲数と捕獲地域が減少しています。つまり、マングースの個体数が減少し、分布拡大も抑制できていると考えられます。また、マングースの捕獲が進むにつれ、ヤンバルクイナなどの希少な在来生物の生息状況も回復してきています。

R1マングース捕獲地図
マングースの捕獲地域(令和元年度)
マングース捕獲数グラフR1まで
マングース捕獲数の変化

マングースバスターズからのお願い

 マングースの捕獲作業チームとして、「やんばるマングースバスターズ」を結成しました。バスターズは月曜日から土曜日まで毎日わなの点検をしています。わなは捕獲した動物を生きたまま捕まえるわな(カゴわな)と捕獲した動物を殺してしまうわな(筒わな)を在来生物の分布状況に合わせて使い分けています。
 車道沿いに加え森林内にもわなを設置しています。そのためマングース捕獲わなを見かけることが多いかも知れませんが、危険なため、わなには絶対に触らないでください。

マングースバスターズのロゴマーク
カゴわな
筒わな

在来生物の混獲について

 マングースを捕獲するためのわなに他の動物がつかまることを混獲と言います。わなの種類や設置場所によっては、在来生物が混獲されることがあるため、さまざまな対策をしています。

 カゴわなを使用する場合は毎日点検を行い、混獲された動物はその場で逃がしています。筒わなは、特に在来生物が混獲されにくくするためにわなの形状やわなエサの種類を変更するなど様々な工夫を行っています。しかし、在来のネズミ類は体のサイズやわなの構造上混獲を防ぐことが難しいため、活動が活発になる時期や生息地などでは筒わなの使用を控えています。

マングース探索犬

 マングースの防除事業が進むにつれて、マングースの個体数が減少し、捕獲しづらくなっています。そこで環境省では、2009年度からマングースやその痕跡(フンなど)を探索することができるマングース探索犬を導入しました。マングース探索犬を用いることで、マングースの分布状況を把握することができるようになり、捕獲作業と連携させることで効率のよい捕獲作業を目指しています。

探索犬

ネコ・イヌ

イヌ・ネコについてはこちらのページをご覧ください。

外来種対策について、詳しい情報はこちらの資料もご覧ください。