両生類・は虫類~固有種の宝庫~
琉球列島は両生類(カエルやイモリのなかま)・は虫類(トカゲやヘビのなかま)が豊富な場所で、日本に生息する両生類・は虫類のうち約半数の種類が生息しています。また、やんばる地域にすむ両生類・は虫類の、実に半分以上が琉球列島の固有種で、他の場所では見ることのできない生き物です。やんばるで確認されている両生類は14種類、は虫類は18種類で、そのうち固有種の割合は8割近くになります。日本のたった0.1%の面積の地域に、これだけ多くの、そしてここでしか見ることのできない両生類・は虫類が生息しているのです。
源流部のゆりかご
やんばる地域の川の上流部は流れが緩やかで、カエルなどが卵を産み成長するのに適した環境であり、これらの種にとって重要な繁殖地となっています。やんばるのカエルの中には冬に繁殖期をむかえる種類もおり、それぞれ少しずつ時期をずらしながらカエルたちの産卵が行われ、ほぼ年間を通しておたまじゃくしが観察されます。たとえば4~6月にはナミガエル、6~8月にはホルストガエル、12~3月にはオキナワイシカワガエルが産卵します。また、林内の地面が湿っているところはイモリやリュウキュウヤマガメの生息地として適しています。
日本で一番美しいカエル?! ~オキナワイシカワガエル~
レッドリスト絶滅危惧IB類(EN)、沖縄県天然記念物
体長約12cmに成長する比較的大きなカエルです。緑色の地にまだら模様が非常に美しく、日本で最も美しいカエルとも言われます。冬に繁殖期をむかえ、「ヒュウッ、ヒョウッ!」と甲高い特徴的な声で鳴きます。
12~3月に穴の奥にたまった水の中に産卵します。このときサワガニが掘った古い巣穴を利用することもあるようです。体の模様は一匹一匹違っていて、多彩な模様を見せてくれます。
ずんぐりむっくり太い足 ~ナミエガエル~
レッドリスト絶滅危惧IB類(EN)、沖縄県天然記念物
体長約13cmにもなる大型のカエルで、世界中でやんばるだけに生息するやんばる固有種です。「グォグォグォッ・・・」と大きな声で鳴きます。4~6月に渓流や湧水のたまりなどに産卵します。沖縄県の天然記念物に指定されています。
足長スマート ジャンプが得意! ~ハナサキガエル~
レッドリスト絶滅危惧Ⅱ類(VU)
体長約6~8cm程度のスマートなカエルです。足が長くジャンプ力に優れています。ふだんは森林にすんでおり、1~2月に滝つぼなどに集まって、集団で産卵します。鳥のような声で、「ピョッ、ピョッ」と鳴きます。やんばる地域の固有種です。
生きた化石?! ~オキナワイボイモリ~
レッドリスト絶滅危惧Ⅱ類(VU)、沖縄県天然記念物
全長約16cm。全身黒褐色で、脊椎が盛り上がっている様子は、恐竜を思い起こさせます。落葉や倒木の下など、日の当らない湿った場所に生息します。2月から7月頃に、水たまりから少し離れた陸上の落ち葉の下などに産卵し、孵化した個体は幼生期のみ水中で生活します。2~3ヶ月で成体になると水には入らず陸上で生活するようになります。大昔の生物の性質を残していることから「生きた化石」と呼ばれ、分類学上も重要な生物です。
森に生きるカメ ~リュウキュウヤマガメ~
レッドリスト絶滅危惧Ⅱ類(VU)、国の天然記念物
カメというと、川や海など水の中だけにすんでいると思っていませんか?リュウキュウヤマガメは甲羅の大きさが約7~15cmで、陸上の森にすむカメです。4~9月によく目撃されるため、この時期最も活動が活発であると考えられています。大人のメスは4~5月にかけて卵を産み、7月中旬から下旬頃に卵がかえります。沖縄諸島の沖縄島、久米島、渡嘉敷島のみに分布しており、沖縄島ではやんばると本部半島のみで観察されています。
大昔の特徴を残す! ~クロイワトカゲモドキ~
レッドリスト絶滅危惧Ⅱ類(VU)、沖縄県天然記念物
トカゲのように見えますが、分類学上ヤモリの仲間とされています(ヤモリもトカゲの仲間の一部です)。一般的にトカゲにはまぶたがあり、ヤモリにはまぶたがありません。このクロイワトカゲモドキは、一般のトカゲのようにまぶたがありますが、ヤモリとトカゲの中間的な形質をもっており、原始的な種であると考えられています。湿り気のある林内のほか、石垣などにも生息します。沖縄諸島の沖縄島、古宇利島、瀬底島にのみ生息します。