Yambaru Wildlife Conservation Center
Ufugi Nature Museum

イヌ・ネコ

やんばる地域でのノネコ・ノイヌ問題

ノイヌ・ノネコとは

 古くから、ペットとして人間と暮らしてきた犬や猫ですが、心ない飼い主に捨てられるなどして野生化してしまうと、野生動物の捕食や、病気の蔓延など、多くの問題を引き起こします。このような野生化してしまった犬猫をノイヌ・ノネコと呼んでいます。

どうして問題になっているの?

 森林などで野生化しているノイヌ・ノネコは、そこに生息する野生動物を捕食したり、病気を媒介、蔓延させてしまう等、生態系へ及ぼす影響がとても大きいとされています。特に狩猟能力・繁殖力が高く、行動範囲の広いノネコは、「世界の侵略的外来種ワースト100」(IUCN)、「生態系被害防止外来種リスト」(環境省、農林水産省)の緊急対策外来種にも指定されています。

実際に、やんばるの森では、見つかったネコの糞からヤンバルクイナやオキナワトゲネズミなど、希少な在来種の羽や毛が確認されています。

やんばる地域での問題・課題

放し飼い(外飼い)のネコが多い

 民家や畑、畜舎周辺で昔からネズミ対策として放し飼いにされているネコが、やんばる地域では、多く見られます。沖縄の昔ながらの家屋には玄関がなく、外で放し飼いをする家庭が多く、そのためネコは室内で飼う習慣が浸透していないこともその原因の1つです。

森林と集落の距離が近い

 やんばるの森林内では継続的にネコが確認されており、その中には亜成獣や仔ネコも含まれ、繁殖している可能性があります。また。森林内では首輪をつけた個体や栄養状態の良い個体も確認されており、日常的に集落内と森林を行き来している個体がいることも考えられます。

やんばる以南の市町村からの流入

 やんばるは隣接する人口密集地と地続きであることから、飼えなくなったペットの遺棄やネコ自身の移動により森林域に流入する個体も多いと考えられます。この問題は、やんばる地域だけでなく、ペットを飼っている全ての人に関わる課題といえます。

イヌ・ネコに関する取組み

森林域におけるネコの捕獲

 環境省と沖縄県では、やんばる地域の森林域においてネコの捕獲・排除を行っています。捕獲された個体については、一定期間個体情報を公開し、飼い主の有無を確認することとしています。

やんばる地域で捕獲されたネコの収容状況はこちら

適正飼養の推進

 沖縄県では、捨て犬・捨て猫防止と、犬猫の適正飼養の普及啓発のため、「一生うちの子プロジェクト」を行っています。

一生うちの子プロジェクト (inuneko-okinawa.jp)

ネコの愛護及び管理に関する条例

 国頭村、大宜味村、東村では、ノネコ・ノイヌが増えるのを防ぐために、飼いネコの登録を義務付ける条例を2005年度に施行しました。以下がその主な内容です。

  1. ネコを飼っていることを村に知らせて、村から飼養登録証をもらわなけれ  ばなりません。
  2. 飼っているネコが他のネコと識別できるようにマイクロチップの埋め込みを行わなければいけません。
  3. 避妊・去勢手術などによって、ネコが繁殖し増加するのを抑制しましょう。
  4. 自分が飼っていないネコに対し、みだりに餌や水などを与えてはいけません。
  5. ネコは室内で飼育し、放し飼いはしないようにしましょう。

飼い主の方へ ~守ってほしい5つのこと~

 野生動物、人間、またともに暮らすペットにとっても不幸な環境を作らないよう、環境省では、ペットの適正飼育を呼びかけています。

1.動物の習性等を正しく理解し、最後まで責任をもって飼いましょう

 飼い始める前に、正しい飼い方の知識を身につけ、飼い始めたら、動物の種類に応じた適切な飼い方をして健康・安全に気を配り、最後まで責任をもって飼いましょう。
動物の種類に応じてしつけや訓練をし、人に危害を加えたり、鳴き声などで近隣に迷惑をかけることのないようにしましょう。

2.ペットは敷地内で飼いましょう

 ペットは敷地内で飼育し、糞尿や毛などで公共の場を汚さないようにしましょう。

ネコについては、必ず室内で飼いましょう。自由に外と行き来できる飼いネコは、ノラネコに病気を移されたり、ケガをしたり、交通事故に遭う可能性が高まります。

3.むやみに繁殖させないようにしましょう

 動物にかけられる手間、時間、空間には限りがあります。きちんと管理できる数を超えないようにしましょう。また、生まれる命に責任が持てないのであれば、不妊去勢手術などの繁殖制限措置を行いましょう。

4.動物による感染症の知識を持ちましょう

 動物と人の双方に感染する病気(人と動物の共通感染症)について、正しい知識を持ち、自分や他の人への感染を防ぎましょう。

5.盗難や迷子を防ぐため、所有者を明らかにしましょう

 飼っている動物が自分のものであることを示す、マイクロチップ、名札などの標識をつけましょう。国頭村、大宜味村、東村では、ノネコ・ノイヌが増えるのを防ぐために、2005年度に「ネコの愛護及び管理に関する条例」を施行し、飼いネコの飼養登録とマイクロチップの埋め込みを義務化しています。

詳細はこちら

動物の愛護及び管理に関する法律に基づく犬と猫のマイクロチップ情報登録